初めての記事として現在育てているヤマトカブトのことを書こうと思います。ヤマトカブトとは何ぞ?という方のため、先に概要を示しておきます。
ヤマトカブト(カブトムシ)
学名:Trypoxylus dichotomus septentrionalis
生息域:日本(本州・四国・九州)
※北海道のものは帰化個体のため生息域としておりませんが確かに生息しています
最大体長:87㎜(野外),91.7mm(飼育)
発生時期:関東では6月~8月
図1.ボクのヤマトカブト
そう!ボクが主に大事に育てているのはいわゆるフツーのカブトムシというやつです。
なーにがフツーのカブトムシじゃ!全然普通じゃねえし!特別だし!
そう考える理由は
このくらいの体格のカブトムシなら1年で羽化するところ、ヤマトカブトはその1年で羽化どころか一生を終える(羽化までだいたい8~9か月くらいの印象です)
つまり成長が著しく早い(早熟でもある)
本州にいる「カブトムシ」はこいつしかいないので特別視される
あのヘラクレスにも逆転勝利出来る一撃必殺を持つ
といったところです。試しに孵化時期がそろった本種とアトラスかグラントシロあたり(フローレスニセヒメもいいですね!)を幼虫で購入して育て比べてほしいくらいです。全然成長の仕方が違うんですから。
さて、ここまでで「普通じゃないんだ、ふーん?」くらいに思って頂けたら幸いなのですが……
本種には楽しい要素がございまして、その一つが色の選別でございます。
だいたい野生で採れる個体は茶色のものが多いのですが、本種はTrypoxylus dichotomus のなかでも真っ赤な個体が出現することが分かっており、ボクも確保して幼虫飼育を行っております。皆さんも真っ赤なカブトムシ、お好きですよね。本州のノコギリクワガタなんかも赤いものは人気ですので、茶色いはずのカブトやクワガタが赤いのは結構好みに刺さるようです。
実は黒い個体も存在します。茶色より明らかに濃いものや本当に黒いものが存在します。一応沖縄に生息する別亜種(オキナワカブト)などは黒っぽいのがデフォルトのようにも思うのですが、そうではなくて、本州のあの長い角で黒いのがまたいい味を出していると思うんです。今年からはボクも黒狙いで2ラインほど新しく東京都で採集なり購入なりして挑戦中です。次回の記事で書く予定ですが、赤狙いより総合的に見て成長率が良いように感じています。
赤派、黒派のほかに、本来の色を!ということで茶色派もいるようですので忘れないようにここに書いておきます。
して、本来の目的はレコードを塗り替えることでした。現在は91.7㎜が最大値のようで、これを超える大物を作出するのがボクの夢です。そこで、昨年から生真面目にデータを取るようにしていますが、データをまとめることで改善点がいくつか見えてきました。本当は誰にも教えたくない!(友達なら別にいい)けどこの記事に目を通す奇特な方をもてなしたい!ので書きます。
割出・採卵の時点で勝負は始まっている!
早熟なので序盤ほど頻繁なマット交換は必須
2本返しでも一応80㎜は狙える
です。去年がまさにそうで、2本返しで羽化させたんです。当時は8月割出、10月1本目、冬眠を経て4月2本目でそのまま羽化まで待つ……といった感じで。
それで最大体重42ℊ、最大体長81.8㎜が出たのですが、今年の幼虫たちを育てて10月の現時点で2本目を与えたところ、♂が最頻値30ℊ、♀が20ℊで最大は♂が37.0ℊ、♀が25.5ℊに達し、これはおととしの2本目(昨年4月:記録がないので記憶だよりですが)の最大値を超えるという結果でございました。最初が肝心だったのかといまさらながら感動と後悔をしている次第です。
簡単で安いからと嘗めてかからず、皆が真面目に飼育すればどんな親からでも80㎜をアベレージとして輩出できるのではないかなと思います。来年は小さな個体もわざと採集して親にし、少し試せたら思うのですが、忘れていたらすみません。
ここからはボクのためのセルフメモですが、育てる極意としては
発生初期を狙って採りに行け、または買え。
モリモリ食べたらすぐ産卵させて2週間で割り出せ。
割り出したらすぐ800cc以上のボトルに個別で入れろ、プリンカップは甘え。
マット交換は1か月半に一度くらい。新鮮なカブトマットをごちそうしろ。
どうやら固いところが好きなようなのでマットはプレスして差し上げろ。
かなと考えています。5は何となくそう思うだけですが、1~4は自分なりの根拠があります。
1は盛夏に成長期をぶつけたいこと。気温が高いことで食欲を促し、成長期にブーストをかけるんです。
2は盛夏で温度調整もガツンとしていない場合エアコンをつけっぱなしでもだいたい27℃くらいなのでそのくらい高温なら早いものは2週間で孵化しているからです。孵化した瞬間からもう勝負は始まっています。ただし卵はプリンカップなどでの保存でもいいと思います。採卵した場合は孵化日が把握できるくらい毎日観察したいですね。
3と4は繰り返しになりますが孵化した瞬間から勝負が始まっているので、すぐ広い所に移して「ここぜーんぶお前の部屋!わかった!?」と教えて差し上げるためですね。そうすることでヤマトカブトの幼虫は無遠慮に発酵マットを平らげ、50日も経過すればフンが目立ち、3令幼虫で出てくるという算段です。小難しいことは考えず、献身的にお世話すればよいのだから初心者向けといわれるのも納得ですよね。3年前と一昨年は廃棄マットでも育てたりしたんですが、どうにも揮わなかったことははっきり覚えているので、彼らはコーカサスやヘラクレスと同様、新鮮なマットを要求するタイプだと思います。廃棄マット処理班にはもっと別の種をあてがうべきです。例えばトルクアータ系やメキノリーナ系のカナブン、サビイロカブトなどは良さそうです。
実は現時点でまだ32頭お世話しきれていないので、カブトマットが届いて作業し終えたら改めてブログに書き起こそうと思います。最後まで読んでいただきありがとうございます。
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